
経営者という立場は、会社全体の舵取りを担い、日々の意思決定や現場との調整に追われがちです。特に夏場は、気温や湿度の高さも重なり、体力的・精神的な疲労が蓄積しやすい時期です。
しかし、経営者自身が疲弊してしまっては、組織全体の判断や推進力に影響を及ぼしかねません。本記事では「経営者こそ休む!夏の自己管理術」と題して、自身のパフォーマンスを維持・向上させるためのポイントを5つに整理してご紹介します。ご自身の状態を客観視しながら、計画的に休みを取る技術を身につけましょう。
【目次】
- 経営者の健康管理は“戦略的な休息”から始まる
- 夏の疲労を見抜く“セルフチェック”のすすめ
- 頭をリセットする“短時間休養”の効果
- 夏の休みを有効活用する“余白の時間”の設計
- チームに安心を与える“休む背中”の見せ方
【本文】
経営者の健康管理は“戦略的な休息”から始まる
多くの経営者が「休んでいる暇はない」と口にします。しかし、真に求められるのは「休まない姿勢」ではなく、「休むことも戦略の一環」と捉える視点です。経営者の意思決定が会社全体に影響を及ぼす以上、その判断力を保つための休息は“投資”とも言えるのです。
特に夏場は、暑さによる睡眠の質の低下や食欲不振、集中力の低下などが起こりやすく、これらが日々の経営判断に影響する可能性があります。だからこそ、積極的な休息の設計が必要になります。たとえば、週1日は完全に仕事から離れる「オフ日」を設けるだけでも、疲労の蓄積を軽減し、メンタルの健全性を保つことができます。
また、夏季休暇の取り方も見直しましょう。「家族との時間」「一人でのリフレクション」「自然の中でのインスピレーション補給」など、目的をもって設計することで、ただの休みが自己成長の時間に変わります。
夏の疲労を見抜く“セルフチェック”のすすめ
経営者は自分の疲労に鈍感になりがちです。「まだやれる」「自分は大丈夫」と無意識に無理を重ね、気づけばパフォーマンスが著しく低下していた、というケースも少なくありません。
そこで有効なのが、定期的なセルフチェックです。具体的には、「集中力が続かない」「物事の判断が鈍る」「朝の目覚めが悪い」「同じミスを繰り返す」といった兆候が現れていないかを、自分自身で点検します。週に一度、決まった時間にこれらを記録するだけでも、自身の状態に気づく手がかりになります。
また、フィジカル面だけでなく、感情の動きにも注目しましょう。怒りやすい、無気力になる、周囲に対して関心が持てないといった状態は、心身の疲労が表面化しているサインです。
セルフチェックの結果をもとに、必要に応じて業務の強度を調整したり、休養を意識的に取り入れることが、「持続可能な経営力」につながるのです。
頭をリセットする“短時間休養”の効果
「長期休暇は取れない」という経営者でも、日々の中で“短時間休養”をうまく活用することで、パフォーマンスを維持・向上させることが可能です。
たとえば、午前と午後に15分ずつ「何もしない時間」を取り入れるだけでも、脳の情報処理が整理され、頭の冴えが戻ります。このとき、スマホやメールチェックも禁止。目を閉じて深呼吸をする、外の風景を眺める、お気に入りの音楽を聴くなど、自分にとっての「リラックスのスイッチ」を見つけることがポイントです。
また、昼食後の“10分仮眠”もおすすめです。眠気によるパフォーマンスの低下を防ぎ、午後の判断力と集中力を高めてくれます。大切なのは、「休んでしまった罪悪感」ではなく、「リセットする技術」を持つことです。
このようなマイクロ休養を日常に取り入れることで、忙しい夏でも余裕を持った判断が可能になります。
夏の休みを有効活用する“余白の時間”の設計
休みを“休みだけ”で終わらせないために、「余白の時間」の設計が重要です。経営者にとっての真の休息とは、肉体だけでなく、頭と心の整理も含めたリフレッシュにあります。
たとえば、朝の1時間だけを「未来のことを考える時間」にする。気になる本をまとめて読む、ノートにビジネスアイデアを書き出す、尊敬する人物の講演を聴くなど、「アウトプットを前提としないインプット」を意識すると、プレッシャーなく思考が広がります。
また、スケジュールに「何もしない日」をあらかじめ入れておくことも有効です。この“計画的な余白”があることで、突発的な外出や予定変更が起きても柔軟に対応できます。
重要なのは、詰め込みすぎないこと。余白の中で生まれるアイデアや気づきこそ、経営にとっての貴重なヒントになることもあるのです。
チームに安心を与える“休む背中”の見せ方
経営者が休むことに罪悪感を覚える背景には、「自分がいなければ回らない」という思い込みがあるかもしれません。しかし、経営者が休む姿を見せることは、チームにとっての安心材料にもなり得ます。
たとえば、「社長も計画的に休んでいる=うちの会社は余裕がある」といった心理的な安定感を生みます。また、休む姿勢を示すことで、「休むことも大切だ」というメッセージが伝わり、部下やチームメンバーの休みやすさにもつながっていきます。
もちろん、経営者が不在でも回る体制づくりは不可欠です。事前の引き継ぎや、指示系統の整理、緊急対応フローの明確化などを整備しておくことで、不安要素を取り除きながら、安心して“休む背中”を見せることができるのです。
【まとめ】
「経営者こそ休む」──これは決して弱さではなく、持続可能な経営のための強さの証です。夏という季節は、心身の調整を図る絶好のタイミング。休息を意識的に設計し、自己管理を経営戦略の一部として捉えることが、真に強い経営者への一歩となります。
次回のテーマは「パート・時短人材の活かし方」を予定しています。