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日々の業務において、成果を出す社員とそうでない社員。その違いは、能力だけではありません。「小さな成功(スモールサクセス)」を積み重ねる環境があるかどうかが、大きなカギになります。成果を認め合い、前向きなフィードバックを繰り返すことで、社員は着実に成長し、組織全体が活性化していきます。今回は「スモールサクセスを増やすフィードバック術」と題し、現場で実践しやすく、効果的なポイントを解説します。

【目次】

  1. スモールサクセスとは何か? 日々の小さな達成を積み重ねる重要性
  2. フィードバックがスモールサクセスを増やす理由 承認と気づきが行動変容を促す
  3. スモールサクセスを引き出すフィードバックの型 ポジティブフィードバックの基本構造を学ぶ
  4. スモールサクセスを見逃さない観察力を鍛える 日常業務のなかで「気づく力」を高める
  5. スモールサクセスを組織全体に波及させるには 習慣化と共有がもたらす好循環

【本文】

スモールサクセスとは何か? 日々の小さな達成を積み重ねる重要性

スモールサクセスとは、目標達成の途中で得られる小さな成果や進捗のことです。たとえば「期限通りに提出した」「初めて資料を1人で作成できた」「お客様から感謝の言葉をもらった」など、一見ささやかに思える出来事も、成長と自信につながる大切な成功体験です。

この小さな成功に気づき、認め、積み重ねることが、社員のモチベーションと行動の原動力となります。逆に、小さな成功を見逃してしまうと、「がんばっても評価されない」「何も成長していない」といったネガティブな認識を生み、成長の足かせになってしまいます。

だからこそ、スモールサクセスの「見える化」と「共有」が求められます。社員が自らの成長を実感し、それをチーム内で認め合える文化づくりが、強い組織の土台になるのです。

フィードバックがスモールサクセスを増やす理由 承認と気づきが行動変容を促す

フィードバックは、単なる評価や指摘ではなく、社員の行動や考え方に働きかけ、成長を促すコミュニケーション手法です。その中でも、スモールサクセスを増やすためには「ポジティブフィードバック」が有効です。

たとえば、「この資料、先週よりも見やすくなっているね」「顧客対応での声かけ、丁寧だったよ」など、小さな成長や努力に焦点を当てたコメントは、社員に「気づき」と「やる気」をもたらします。承認されることで自己肯定感が高まり、「また頑張ろう」という前向きな行動につながります。

重要なのは、タイムリーに伝えること。そして、結果ではなくプロセスや姿勢に注目することです。努力を継続的に認めることが、社員の自律性を育み、スモールサクセスの連鎖を生むのです。

スモールサクセスを引き出すフィードバックの型 ポジティブフィードバックの基本構造を学ぶ

ポジティブフィードバックを効果的に行うには、基本的な型を押さえることがポイントです。代表的なのが「SBIモデル」です。S(Situation):状況、B(Behavior):具体的行動、I(Impact):その行動の成果や影響、の順で伝えます。

たとえば、「昨日の営業会議(S)で、準備した資料を自信をもって説明していたね(B)。あの資料があったおかげで全員の理解が深まったよ(I)」という具合です。このように具体的な場面と行動、影響をセットで伝えることで、受け手は「何が良かったか」を明確に理解できます。

また、「ありがとう」「助かったよ」「嬉しかった」といった感情表現を添えることで、さらに相手の心に届くフィードバックになります。

スモールサクセスを見逃さない観察力を鍛える 日常業務のなかで「気づく力」を高める

効果的なフィードバックには、まず「気づく力」が必要です。スモールサクセスは派手な成果ではなく、日常の中に埋もれているからこそ、意識的な観察が求められます。

観察力を鍛えるには、「注目するポイント」を明確に持つことが有効です。たとえば、メンバーの変化や工夫、前回との違い、チームへの貢献など、視点を定めて日々の行動を見るようにすると、小さな成長に気づきやすくなります。

また、「観察メモ」や「気づきノート」を活用し、感じたことを記録する習慣を持つと、フィードバックの質が格段に上がります。上司だけでなく、同僚同士でフィードバックし合える関係を築くことも、気づく文化をつくる第一歩です。

スモールサクセスを組織全体に波及させるには 習慣化と共有がもたらす好循環

スモールサクセスを組織に定着させるには、個人の努力に任せず、仕組みとして設計することが大切です。たとえば「毎週のチームミーティングで成功体験を1つ共有する」「社内SNSに“Good Job!”を投稿する」など、定期的に称賛や共有が生まれる場を設けることが有効です。

また、上司だけでなく、メンバー同士でも互いの良いところを伝える「双方向のフィードバック文化」を育てましょう。最初は恥ずかしさや遠慮があっても、続けることで徐々に当たり前になり、チームの風土そのものが変化していきます。

こうした文化が定着すれば、個々のやる気が高まり、職場に前向きな雰囲気が広がります。スモールサクセスの連鎖は、組織の成果や成長に確実につながっていくのです。

【まとめ】 スモールサクセスを見つけ、認め、広げることは、組織づくりの最も地道で最も確実な方法です。日常の中にある価値を丁寧にすくい上げることが、人と組織を強くします。フィードバックの力を味方につけ、小さな成功の花を咲かせ続けましょう。

次回のテーマは「繁忙期前の“仕組み整備”チェック」を予定しています。